試験・分析・測定業務

コンクリート診断分析

アルカリシリカ反応性試験

骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(化学法)

この規格は、コンクリート用骨材のアルカリシリカ反応性を、科学的な方法によって比較的迅速に判定する試験方法について規定します。ただし、コンクリート用骨材のうち、人工軽量骨材(粗・細)には適用しません。また、硬化コンクリートから取り出した骨材に対しては、箇条11.の判定は適用しません。 この試験方法は、骨材のアルカリシリカ反応性を判定するものであるので、その他の反応を呈する可能性のある骨材は岩石学的な調査を行う必要があります。また、この方法で“無害でない”と判定された骨材でも、JIS A 1146で“無害”と判定された場合には、後者を優先してよいとされています。

 

用語及び定義

この規定で用いる主な用語及び定義は、JIS A 0203によるほか、次によります。

アルカリシリカ反応(ASR)

骨材中の反応性を持つシリカ(二酸化けい素、SiO2)と、コンクリートに含まれるアルカリ(Na+,K+など)が反応することによって生じた生成物が吸水して膨張し、コンクリートにひび割れなどを生じさせる現象

アルカリ濃度減少量(Rc)

骨材との反応によって消費された水酸化ナトリウムの量

溶解シリカ量(Sc)

骨材とアルカリの反応によって溶出したシリカの量

 

試験方法

アルカリと骨材試料との反応操作

試料に1mol/l水酸化ナトリウム標準液を加え、80±1℃に調節した恒温水槽中で24時間反応させ、これを吸引ろ過して試料原液を得ます。

アルカリ濃度少量の定量方法

操作

試料原液を分取し、水を加えて希釈試料とする。この一部を分取し、フェノールフタレイン指示薬を用いて0.05mol/l塩酸標準液で滴定します。

溶解シリカ量の定量方法

溶解シリカ量の定量は、次のいずれかの方法によるものとします。

  • 質量法
  • 試料原液を分取し、塩酸を加えて蒸留乾固した後、過塩素酸処理を行い沈殿物を強熱

  • 原子吸光光度法
  • 原子吸光光度法は、希釈試料溶液をアセチレン・酸化二窒素の高温フレーム中に噴霧させ、251.6nmにおける吸光度を測定してシリカ量を定量

  • 吸光光度法
  • 希釈した試料溶液中のシリカとモリブデン酸アンモニウムとを反応させた後、しゅう酸を加え410nm付近で吸光度を測定してシリカ量を定量

 

骨材のアルカリシリカ反応性の判定

骨材のアルカリシリカ反応性の判定は、測定項目における定量値の平均値を用いて行うものとし、次の通りです。

a)溶解シリカ量(Sc)が10mmol/l以上で、アルカリ濃度減少量(Rc)が700mmol/l未満の範囲では、溶解シリカ量(Sc)がアルカリ濃度減少量(Rc)未満となる場合、この骨材を“無害”と判定し、溶解シリカ量(Sc)がアルカリ濃度減少量(Rc)以上となる場合、その骨材を“無害でない”と判定する。
b)溶解シリカ量(Sc)が10mmol/l未満でアルカリ濃度減少量(Rc)が700mmol/l未満の場合、その骨材を“無害”と判定する。
c)アルカリ濃度減少量(Rc)が700mmol/l以上の場合は判定しない。
 

出典:JIS 日本工業規格 規格集 320-21〜320-27頁

 

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