ボーリング調査
地中を掘って土・岩石を採取し、それを連続的に観察したり、各種試験を実施することで、地質(土・岩盤)状況を把握する調査です。土木・建築構造物の計画、地下水の開発計画、地盤の汚染状況(土壌・地下水や油汚染・自然由来重金属調査など)を把握することなどを目的としますが、それぞれの目的によってボーリング調査の方法は異なります。
ボーリングマシンによって土・岩を採取して箱に収納し、それを観察して地質状況を柱状図に整理します。土木事業や地盤汚染の調査では、オールコアボーリングによる調査を主体としており、それぞれの目的に合わせた柱状図(土質柱状図・岩盤柱状図・地すべり柱状図・化学柱状図)を作成します。表層土のみを採取する(築堤土・土壌調査など)場合の手軽な方法として、人力によるオーガーボーリングという方法を行うこともあります。また、非常に特殊な事例では産業廃棄物における悪臭問題から、既設の産業廃棄物盛土のオールコアボーリングを行ったこともあります。
ボーリングマシンによる掘削では土・岩の採取を行わず、所定の深度までの削孔を行って、孔内計測・試験やサンプリングを行います。建築事業に係る調査においてはノンコアボーリングと1m毎の標準貫入試験によるボーリング調査が基本となっていますが、土木事業においても目的によってはこの方法が行われることもあります。また、地下水開発のための調査もノンコアボーリングとなりますが、ボーリングマシンや仮設が全く異なった井戸工事と同じ仕様の調査となります。
陸上から離れた海上など、水深の深い海上においてボーリング調査する場合には、スパット台船を利用した調査を行います。なお、スパット台船とは、フロートと呼ばれる足場部分の四隅にスパットを取付け、フロート上のチルホールで、スパットに付属するワイヤーを取り込み、あるいは繰り出す事でスパットの昇降,またはフロートの昇降を行う足場のことです。
海上であっても陸地から近く水深が浅い場合、溜池・河川内などの調査の場合には、陸上と同様に単管足場を仮設することもありますが、水深によっては潜水士に仮設を手伝ってもらう必要があるケースなどもあります。
ボーリング位置は、調査員や設計者との打合せ・協議の上で選定し、ボーリング位置図の各地点で、調査を実施します。
本調査には、油圧式ロータリー式試錐機を使用し、コア採取率100%を目標として、粘性土などの軟質部はφ66mmメタルクラウン、同シングルコアチューブを使用して無水掘進を行い、基盤岩などの硬質部ではφ66mmダイヤビット、同ESタイプダブルコアチューブを使用し、送水掘進を行います。
ボーリングコアの採取に当たっては、コアチューブから慎重に取り出し、直ちにコア箱に収め、必要に応じて深度を記入した表示板等を入れ、採取率などが判明できるようにします。作業にあたっては、深度、作業前の孔内水位、送水状況、排水色、排水率、孔壁の状態、逸水や湧水の有無を記録し、日報にまとめます。
出典:公益社団法人地盤工学会 地盤調査の方法と解説